農家の知人が、よく焼却を行っています。
野焼きは基本的に禁止と認識していたので、どのような場合に焼却できるのか調べてみました。
焼却を禁止している法律は廃掃法(廃棄物処理法)
廃掃法で廃棄物の焼却を禁止しています。
(焼却禁止)
第十六条の二 何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。
一 一般廃棄物処理基準、特別管理一般廃棄物処理基準、産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従つて行う廃棄物の焼却
二 他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却
三 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの
この法律における廃棄物の定義です。
(定義)
第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
廃棄物ではないもの(例えば、燃やすための商品である炭)は、この法律で燃やすことは禁止されないと思われます。
焼却禁止の例外
上記の廃掃法で禁止の例外となる「政令で定めるもの」は下記になります。
(焼却禁止の例外となる廃棄物の焼却)
第十四条 法第十六条の二第三号の政令で定める廃棄物の焼却は、次のとおりとする。
一 国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却
二 震災、風水害、火災、凍霜害その他の災害の予防、応急対策又は復旧のために必要な廃棄物の焼却
三 風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却
四 農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却
五 たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であつて軽微なもの
農家の知人は、農業を営んでいることを根拠に焼却を行っていると思われます。
農家なら何でも焼却できるわけではなく、農業を営むためにやむを得ない焼却が例外になりうるようです。
家庭ゴミや庭木の枝など、農業に関係ないものは焼却することはできず、
作物の不可食部分や果樹の枝など、農業に関係するものは焼却できる場合があるようです。
枯草は廃棄物?
枯草は廃棄物と記載するページは多数ありますが、
刈り取る前の枯草か、刈り取った後の枯草かを明確に記載しているものは見当たりませんでした。
刈り取るかどうかに関係なく廃棄物だからかもしれません。
しかし「野焼きと健康を考える会」のページでは、
刈り取っていない状態では廃棄物ではないので、刈り取っていない枯草の焼却は廃掃法で規制できないとあります。
野焼きを抑制する立場の方々が、野焼きを抑制しにくくする情報を提示しているので、刈り取っていない状態では廃棄物ではないのだろうと思われます。
廃棄物でないなら、焼却禁止の例外に該当しなくても焼却できることになりますが、
廃掃法で焼却を禁止する趣旨には反するように思います。
刈り取る前の草が廃棄物でないなら、例えば草焼きバーナーで草を刈り取らずに燃やすことは、誰が行ってもよさそうです。
森林法による焼却の許可
森林または森林の周囲1キロメートル内で焼却を行う場合は許可が必要なようです。
許可が得られるのは第二項より、林業または農業のようなので、廃掃法で焼却禁止の例外の範囲に見えます。
自治体によるかもしれませんが、京丹後市では「造成や廃棄物処理等のための火入れは許可できません。」とあります。
林業または農業に関係ないものは許可されず、持ち込んだものは焼却できないのだと思われます。
(火入れ)
第二十一条 森林又は森林に接近している政令で定める範囲内にある原野、山岳、荒廃地その他の土地においては、その森林又は土地の所在する市町村の長の許可を受けてその指示するところに従つてでなければ火入れをしてはならない。ただし、国又は地方公共団体が火入れをする場合は、この限りでない。
2 前項の市町村の長は、火入れをする目的が次の各号の一に該当する場合でなければ同項の許可をしてはならない。
一 造林のための地ごしらえ
二 開墾準備
三 害虫駆除
四 焼畑
五 前各号に準ずる事項であつて農林水産省令で定めるもの
3 第一項の市町村の長は、国有林野の管理経営に関する法律に規定する国有林野又はこれに接近する森林若しくは土地について同項の許可をするには、あらかじめ、その国有林野を管轄する森林管理署長に協議し、その同意を得なければならない。
4 認定森林所有者等のうち第十一条第五項の認定に係る森林経営計画(その変更につき第十二条第三項において読み替えて準用する第十一条第五項の規定による認定があつたときは、その変更後のもの)において火入れに関する事項を記載しているものは、第一項の規定にかかわらず、同項の市町村の長の許可を受けないで、農林水産省令で定めるところにより、当該火入れをすることができる。
政令で定める範囲は下記のようです。
(火入れの許可を要する土地の範囲)
第三条の二 法第二十一条第一項の政令で定める範囲は、森林の周囲一キロメートルの範囲とする。
農林水産省令で定めるものは下記のようです。
(火入れ)
第四十七条 法第二十一条第二項第五号の農林水産省令で定める事項は、採草地の改良とする。
2 認定森林所有者等は、法第二十一条第四項の規定により火入れをしようとするときは、あらかじめ、火入れをする森林の所在する市町村の長に必要な指示を求め、その指示に従つて火入れをしなければならない。
ちなみに、「火入れ」は森林にだけ用いる言葉ではないと思われます。
林野庁のページに、森林法の適用外と思われる場所を野焼きするのに「火入れ」と表現しています。
南房総市は森林が多いのか、森林法、廃掃法、条例を混ぜて説明しているように見えます。
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