インボイス制度 免税事業者が不利になる理由の確認

インボイス制度について、たいして理解していないのですが、よくある記事の前提の条件が不足しているように思ったので記事にします。

事業者のパターン

事業者は3パターン存在すると思います。
A:課税事業者で消費税を取る
B:免税事業者で消費税を取る
C:免税事業者で消費税を取らない

取引のパターン

取引のパターンは、消費税が発生する方向を区別する必要があるので、9通りだと思います。
→の方向にサービスを提供し、矢印の元側が消費税を取る側とします。
A→A
A→B
A→C
B→A
B→B
B→C
C→A
C→B
C→C

免税事業者は消費税を納税しないので、仕入税額控除は存在しないと思います。
このため、免税事業者は仕入れ先が適格請求書を発行するかどうかは関係ないと思いますので、免税事業者がサービスを受けるパターンは除外します。
A→A
A→B
A→C

B→A
B→B
B→C

C→A
C→B
C→C

課税事業者にまったくサービスを提供しない課税事業者はマレだと思いますので、課税事業者は適格請求書を発行するものとして、パターンから除外します。
A→A
B→A
C→A

以上から、免税事業者が課税事業者にサービスを提供するパターンについて考えます。
B→A
C→A

インボイス制度 前後での変化

税別10,000円のサービスを提供するとします。
税率は10%のサービスとします。

消費税を取る免税事業者の場合

B→Aのパターンです。
A:課税事業者で消費税を取る
B:免税事業者で消費税を取る

Bは消費税を取りますが、免税事業者のため、適格請求書を発行できません。

AはBに消費税を払いますが、Bは適格請求書を発行できないため、支払った消費税を仕入税額控除できなくなります。

インボイス制度前

Bの収入:11,000円

Aの支出:11,000円
Aの仕入税額控除:1,000円

インボイス制度後

Bの収入:11,000円

Aの支出:11,000円
Aの仕入税額控除:0円

予想される交渉1

Aの仕入税額控除が減った分、Aの所得が減るので、Bにその分の値引きを要求する。
Bが得ていた消費税は、本来Bのものではないので、値引きは妥当かもしれません。
Bが課税事業者以外にサービスを提供する場合は、従来のままでいい。

Bの収入:10,000円

Aの支出:10,000円
Aの仕入税額控除:0円

予想される交渉2

Bが課税事業者になり、適格請求書を発行する。
Bは消費税を納税する分の所得が減り、消費税を納税するための手間が増えます。

Bの収入:11,000円(ただし、消費税の1,000円は納税)

Aの支出:11,000円
Aの仕入税額控除:1,000円

消費税を取らない免税事業者の場合

C→Aのパターンです。
A:課税事業者で消費税を取る
C:免税事業者で消費税を取らない

Cは消費税を取りませんし、免税事業者のため、適格請求書を発行できません。

CはAから消費税を受け取っていませんが、Aはサービスを内税として処理していることがあるようです。
Cは適格請求書を発行できないため、Aは仕入税額控除できなくなります。

インボイス制度前

Cの収入:10,000円

Aの支出:10,000円
Aの仕入税額控除:0円または909円(9,091×1.1=10,000.1なので、10,000-9,091)

インボイス制度後

Cの収入:10,000円

Aの支出:10,000円
Aの仕入税額控除:0円

予想される交渉1

Aの仕入税額控除が減った分、Aの所得が減るので、Cにその分の値引きを交渉する。
Cはそもそも消費税を取っていないので応じる必要は無いように思いますが、競合事業者が課税事業者で10,000円で提供しているなら応じる場合があるかも。
Cが課税事業者以外にサービスを提供する場合は、従来のままでいい。

Cの収入:9,091円

Aの支出:9,091円
Aの仕入税額控除:0円

予想される交渉2

Cが課税事業者になり、適格請求書を発行する。
Cが単純に消費税を加算すると、Aは1,000円多く払って、1,000円控除が増えるので得がないため、Cが課税事業者になるだけでは意味が無い。Aは値下げもセットで要求するはず。
Cは課税事業者以外にサービスを提供する場合も消費税を取ることになるので、価格競争力は下がる。

Cの収入:11,000円(ただし、消費税の1,000円は納税)

Aの支出:11,000円
Aの仕入税額控除:1,000円

予想される交渉3

Cは値下げもしないし、課税事業者にもならない。
Cは消費税を取っていないのだから、Aは仕入税額控除できないことを許容する。
ただし、課税事業者で11,000円の場合に比べ、Cの価格競争力は無くなる。さらに適格請求書を発行できないことがAの事務処理の手間になり不利になるかも。

Cの収入:10,000円

Aの支出:10,000円
Aの仕入税額控除:0円


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