プライベートで買った自動車について、家族の経費に算入できるか調べた話

私が購入した自動車を、数年後に父の事業でも使用することになりました。

確定申告の時期に、父から「減価償却を経費にできないの?」と聞かれました。
「私が全額支払った自動車の代金を、他人の経費にできるわけがない」と思ったのですが、そうでもないようなので、調べたことなど記事にします。

税に関する業務経験者ではありません。

自分で確定申告するならどう処理するかを調べた結果の紹介です。

家族の経費にできるか

生計を一にする配偶者その他の親族(家族とします)であれば、本人以外の家族が支払った費用でも、本人の経費にできるようです。
もちろん事業に関する費用である必要があります。本人が支払った費用でも、事業に関する費用しか経費にならないのと同様です。

確定申告は個人単位で行いますが、事業の収支は生計単位で行う。ということだと思います。

(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)
第五十六条

居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。

出典:e-Gov法令検索 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)

途中から事業用に使用した場合の償却可能額

取得してから事業用に使用するまでの期間で価値が下がるため、取得価額全てを償却することはできないようです。
取得価額から非事業用で使用した期間で減価した未償却残高相当額が償却可能な額のようです。

非事業用の耐用年数は、事業用の耐用年数の1.5倍だそうです。
自動車の事業用の耐用年数は6年なので、非事業用の期間は9年で償却し終わるよう減価されるようです。

国税庁のサイトからの引用です。

家屋や自動車のように使用や期間の経過により減価する資産で、不動産所得、事業所得、山林所得または雑所得を生ずべき業務の用に供していないもの(以下「非業務用資産」といいます。)を、これらの所得を生ずべき業務の用に供した場合の減価償却費の計算は、まず、非業務用資産として使用していた期間における「減価の額」の計算を行い、この「減価の額」をその資産の取得価額から控除した金額(以下「未償却残高相当額」といいます。)をその業務の用に供した日におけるその資産の未償却残高とします。

No.2109 新築家屋等を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却|国税庁

減価償却資産の種類や取得日によって、適用する償却方法は異なるようです。
耐用年数が長いものだと、過去の法律が適用されるためのようです。

下記2つのリンクは、家屋の業務用への転用に関するものです。
同じ転用でも、取得年月日が異なり、適用されるルールが異なるため、記載内容も異なっているようです。

No.2109 新築家屋等を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却|国税庁
非業務用資産を業務の用に供した場合|国税庁

途中から事業用に使用した場合の減価償却費

未償却残高相当額または取得価額を基に減価償却費の計算を行うそうです。

未償却残高相当額か取得価額かは、自由に選べるわけではなく、償却方法で決まると思われます。
償却方法は、償却資産と取得年月日で決まると思われます。

自動車であれば、その耐用年数から取得年月日は平成19年4月1日以後のはずなので、定額法か定率法のいずれかになり、一般的には定額法になるようです。
定額法は取得価額を用いるようです。

No.2109 新築家屋等を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却|国税庁
No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)|国税庁

事業と兼用の場合の経費

減価償却費と事業での使用割合から、計上できる経費が決まるようです。
専用なら減価償却費を100%経費にでき、兼用なら減価償却費を兼用の割合に応じて経費にできるようです。

国税庁のサイトからの引用です。

事業の用に供される減価償却資産について、定額法等一定の償却の方法により計算した金額は、減価償却費としてその年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入されることとなっていますが(所得税法第49条)、その減価償却資産が家事兼用資産である場合には、減価償却費として計算される金額の全額が必要経費に算入されるのではなく、「業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合」に、その部分に相当する金額を必要経費に算入することとされています(所得税法第45条第1項第1号、所得税法施行令第96条第1号、所得税基本通達45-1、45-2)。

家事兼用資産に係る特別税額控除について|国税庁

例:取得価額360万円の自動車を非事業用に3年使用した場合

計算を簡単にするため、取得と事業での使用開始は1月1日とします。

減価の額

非事業用で使用した年数分の減価。

「取得価額」を「非事業用の耐用年数」で割り、使用年数を掛ける。
自動車の非事業用の耐用年数は9年で、3年使用したので
360万円 ÷ 9 × 3で、「減価の額」は120万円。

未償却残高相当額

「取得価額」から「減価の額」を引く。

360万円 – 120万円で、「未償却残高相当額」は240万円。

減価償却費

定額法で償却する。

「取得価額」を「事業用の耐用年数」で割る。
自動車の事業用の耐用年数は6年なので、
360万円 ÷ 6で、1年あたりの「減価償却費」は60万円。

「未償却残高相当額」240万円から1年で60万円償却するので、
減価償却し終わるのにかかる年数は4年。

経費計上

事業用の使用割合は50%とする。

「減価償却費」に「事業用の使用割合」を掛ける。
60万円 × 0.5で、1年間に30万円経費にできる。

参考:売却した場合

家族の減価償却資産を売却した場合、家族の収入になりますが、本人は所得として確定申告する必要があると思われます。

トータルで損をすることは滅多に無いとは思いますが、家族の支出を経費にできるというメリットだけではないと思います。

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